「天晴爛漫!」特集

天晴爛漫!特集

いよいよ連動配信再開!

毎週金曜21:30地上波先行配信

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監督・シリーズ構成・ストーリー原案・脚本
橋本昌和 監督 dアニメストア独占インタビュー

放送再開!現在絶賛オンエア中のオリジナルアニメ作品「天晴爛漫!」。19世紀、日本からアメリカへ行ったふたりの青年は、日本に帰るために「アメリカ大陸横断レース」に出場することに……。社交性ゼロのエンジニア「空乃天晴」と、凄腕だが臆病な侍「一色小雨」の冒険が始まる!はたしてふたりは無事にゴールまでたどり着けるのか。この作品を手掛ける橋本昌和監督に、オリジナル作である本作が生まれたきっかけと、見どころを伺いました。

「自分たちが好きなもの、観たいものを詰め込んだ作品になりました」

アメリカ大陸横断ゴルフからアメリカ大陸横断レースへ

――この企画が始まったきっかけを教えて下さい。

橋本 この作品は最初から「オリジナル作品をやりましょう」というところから始まった企画だったんです。そのときは「スポーツもの」をやりましょうと。そういう漠然としたところから始まって、じゃあ一度会いましょうと。僕とKADOKAWAさんのプロデューサー、P.A.WORKSのプロデューサーが集まって打ち合わせをしたんです。そうしたら、その場のノリで「アメリカ大陸を横断したいね」と。そのときは「アメリカ大陸横断するゴルフ大会の話」という内容でした。

――じゃあ、その段階で「アメリカ大陸横断」というテーマのひとつが決まっていたんですね。

橋本 そうですね。アメリカ大陸を横断する話をつくって、「アメリカにロケハンへ行こう」と(笑)。今回はスポーツもので「熱い」話にしようと思ったんです。これまでP.A.WORKSのオリジナル作品というと「リアリティ寄りの日常もの」のイメージが強かったと思うんです。今回もファンタジーにしようというわけではなくて、リアリティのベースの上に何を乗せるかという発想で考えました。

――「アメリカ」という場所を舞台にした理由は何でしたか。

橋本 ひとつは「新しさ」ですよね。ヨーロッパ的なビジュアルは、いろいろな作品でよく見るけれど、比較的アメリカは新しいビジュアルが描けそうだという印象があったからです。上品なヨーロッパよりも、ワイルドなアメリカという感覚ですね。何が起きるかわからない、突拍子のないことが起きそうな雰囲気が良いなと思ったんです。ビジュアル的にも地平線がドーンと広がっているところでゴルフをするのは良いだろうと。

あと「いろいろな人種が混在する」多国籍な感じも今回やってみたいと思っていたことです。

――その時点では「ゴルフもの」なんですよね。そこから「レースもの」になったのはなぜですか?

橋本 そのときは近未来を舞台にした「ゴルフもの」で。ボールを打ちながら、アメリカを横断していく。すごい広大なホールを横断していくという話だったんです。キャラクターを全部決めて、あとはストーリーを詰めていくところまではたどり着いていたんです。そのタイミングで、みんなでゴルフの打ちっぱなしに行ってみたんです。結構楽しくて、でも「楽しいけど、この楽しさをアニメで伝えられるだろうか?」と思ったんです。「僕たち、ゴルフに詳しくないよね」って(笑)。

――えええっ、その段階で?

橋本 そうなんです。「ボールを打ったら面白い」というだけでは足りないだろうと。じゃあ「ゴルフ+アドベンチャーレース」みたいなものにしたらどうだろうと。最終的にゴルフを外してみたらどうだろうと(笑)。それで考えたのが「19世紀を舞台にしたアメリカ横断をテーマにしたレースもの」だったんです。「ゴルフもの」と「レースもの」、二つの企画書を書いて会議にもっていったら、全員一致で「レースものが良い」と。

――そこで方向転換があったんですね。

橋本 そこまで積み重ねてきて、どんどん面白くなっているところだったので、そうやって方向転換することでより面白くできたらと。「主人公たち若者が、経験豊富なベテランたちと戦う」「才能だけで出てきた若者たちが、資金も経験も豊富なベテランたちと戦う」という構造は「ゴルフもの」の時からあったので、そのときのキャラクターは大分「レースもの」にもってきました。やろうとしていたことは変わっていなくて、表面的なことを入れ替えた、見せ方を入れ替えたという感じです。

――「近未来もの(ゴルフ企画)」が「19世紀(レース企画)」というのは大きな方向転換だと思うのですが、このあたりはどう考えていましたか。

橋本 抽象的な「近未来」から「19世紀」にしたことで、世界観も含めたテーマを獲得できたと思います。キャラクターたちの葛藤や変化と、時代の移り変わりを重ねることでテーマを強化できるのではと。時代的な制約もありますが、それもドラマに活かせるのではないかという想いもありました。

――今回、主人公の空乃天晴が19歳。19という数字は本作のキーワードのひとつですね。

橋本 そうですね。19世紀から20世紀の「古い時代」と「新しい時代」の葛藤というテーマを作品全体に入れていて。いまは頭から最後までそのテーマを通しているのですが、そこに19歳から20歳という「子どもから大人へ」という一番微妙な時期の主人公を描くことで「世代をまたぐ」というテーマを重ねています。天晴のパートナーとなる一色小雨は21歳で、向こう側にいる。同い年でなく、ちょっと上という微妙な関係。テーマと主人公を合わせながら、作品全体に「移り変わり」を感じさせるものになれば良いなと思っています。

リアリティよりも突き抜けた

――漫画家のアントンシクさんにキャラクターデザイン原案を発注したのはいつぐらいですか?

橋本 企画初期の段階からアントンシクさんにはお付き合いいただいて、ずっとキャラクターをつくっていました。アンさんの漫画には老若男女、いろいろな年齢や性別、人種が登場して、みんなそれぞれに個性があって魅力的で、そこがこの作品にぴったりだと思いました。アンさんにデザインをお願いすることになったのは、僕とプロデューサー陣の満場一致で決めたんです。ある日、KADOKAWAさんの会議室に当時発売されていた雑誌やイラスト関係の書籍を集めていただいて、プロデューサーと僕とで目を通しながらお願いしたいと思う方に付箋を付けていって、みんなの付箋がそろって付いた人がアンさんでした。

――監督からアンさんにリクエストしたことはどんなことでしたか?

橋本 「時代考証はある程度、無視して飛び出たものにしてください」とお願いしました。リアリティを追求すると衣装がどうしても地味になってしまう。今回はキャラクターごとにはっきりとした色があって、フォルムを見ただけでキャラクターがわかるようなものにしてほしいとずっとお願いしていました。アンさんは最初リアル目に描いてくださったんですが、もっとやっていいですよと。空乃天晴の顔のクマ取りや背中に綱を背負っているデザインはアンさんからのアイデアでした。

――企画初期におっしゃっていた「アメリカへロケハン」という目的は実現されたのでしょうか?

橋本 ロケハンは目的じゃなくて、手段のひとつだったんですけど(笑)。一週間くらいアメリカにロケハンへ行きました。本当は横断しようと言っていたんですけど、その時間はなくて。ロサンゼルスとその近辺の荒野を回っていきました。向こうでガイドの方に案内していただいたり、レンタカーを借りて国立公園の中の凸凹した荒野を自分たちで走り回りました。19世紀末は微妙な年代で、アメリカに行くとその頃に建った建物がまだ残っていたりするんですね。だからといって写真資料を集めようとすると意外と残っていない。日光江戸村のような、西部開拓時代の建物が残っているような場所に行って、そこを見学したりもしました。

――監督がロケハンに行くときは、どんなところを注目しましたか。

橋本 すでにシナリオ作業が進んでいる状態でアメリカに行ったので、シナリオに出てきた場所をピンポイントで見るところもあって。美術監督さんや美術設定のスタッフもいっしょに行って、実際の絵にすることを想定して参考となる資料を集めていきました。アメリカはとにかく広大でした。

――本編を制作していく中で、どんなアニメーションにしようとお考えでしたか。

橋本 当時、新しいクルマやファッションが出てきたら「なんだこれ?」というインパクトがあったと思うんです。その当時の人が見た「なんだこれ」という感じを、今の僕たちが感じられるように。色味を派手にして、かなりとびぬけたものにしようと思いました。たとえばTJ(天晴と小雨のライバルとなる伝説のアウトロー)の髪の毛の色とか、いわゆる制作途中の仮色(のちに正しい色に変換するために塗られる仮の色味)みたいな色なんですけど、これで良いですと。デザイン的にも色味的にもかなり尖らせたものになっています。

いままで見たことのない新しいものを目指して

――P.A.WORKSさんの社内では、そういう尖った作品をどのように受け止めているのでしょうか。

橋本 スタッフ一人一人がどう受け止めているかはわかりませんが、原画さんには「もっとやってください」「今まで見たことのない芝居をつけてください」とお願いしています。とくに小雨はありきたりで記号的な芝居にはしたくない、という気持ちがあって。できるだけ「小雨にしかできない芝居」をお願いしています。

――じゃあ、アニメーションとしてもかなりバラエティ豊かなものになっているんですね。

橋本 食事シーンや日常シーンは、今まで通りリアリティのある芝居になっていて。小雨の派手なリアクションも「こういう人がいる」という生々しい芝居のひとつとしてお願いしているんです。ただ派手にするのではなく、抑えるところは抑えて、あくまで人間として芝居をつけてください、と。とても難しいキャラクターだと思いますが、現場のスタッフにお願いしているエンドカードでは小雨の登場率が高いという話を聞きました。

――小雨は愛されているんですね。現場で、ほかに愛されているキャラクターは?

橋本 TJが人気だという話を聞きました。おそらくデザイン的なところも含めて人気なんだと思います。

――この作品は天晴と小雨だけでなく、いろいろなコンビが登場しますが、監督としてこのバディの魅力をどんなところに感じていますか。

橋本 逆のものを組み合わせるというのがバディもののセオリーだと思うんです。天晴と小雨は逆の存在をイメージしていて、名前も逆のイメージでつけています。晴と雨ですからね。でも、社交性ゼロの天晴を、小雨が社交性で助けるのかと言ったら、必ずしもそうではなくて。生意気で社交性ゼロの天晴のほうがまわりから慕われて、社交性があるはずの小雨がみんなから軽く思われてしまう。才能がある天晴がみんなを助けていくのかと思いきや、小雨の才能でみんなが助けられることもある。単純な組み合わせではなくて、プラスとマイナスをみんなが持っていて、マイナスに助けられるときもある。人間味のある複雑な組み合わせになっています。

――アメリカ横断レースについては、どのように描こうとお考えですか。

橋本 この登場人物たちにとってレースって何だろうと思うと、それは僕らにとってアニメみたいなものだなと思ったんです。みんながレースの一員であり、競い合うことでレースというものを作っている。アニメも演出家同士、作品同士、アニメーター同士が競い合っているけれど、広い視点から見ると、その舞台となっているアニメ業界は各自が競い合うことで活気づいていくし、広い意味ではみんな仲間なんですよね。いろいろな人がいて、いろいろなものがあるからこそ、その世界が続いていく。そんなふうに捕らえながら作業を続けています。

――監督は今回、脚本もご自身で書かれています(森江美咲と一部共同)。そういう視点をお持ちだと、脚本の執筆にも変化がありますか。

橋本 より実感のこもったセリフが書けるような気がします。ある程度、自分に重ねていくことで嘘のないセリフになるというか。キャラクターの心情に寄り添ったセリフが出てきますね。

――いよいよ「アメリカ大陸横断レース」がアニメで始まろうとしています。dアニメストアユーザーに向けて、この作品をどのように楽しんでほしいと思っていますか?

橋本 基本的には「自分たちが好きなもの」「自分たちが観て楽しいもの」を作ろうと思っているんです。ちょっと懐かしいけれど、新しい作品になるといいなと思っています。あちこちに遊びを入れているので、そこも含めて楽しんでもらえるとうれしいです。

文:志田英邦

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2020夏アニメ配信ラインナップ

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更新日:2020年9月18日