いまや日本を代表するアニメーション演出家・宮崎駿と、彼とともに歩んできたスタッフによって制作されて多くの人々を魅了してきた作品、それがこの「未来少年コナン」だ。その映像は見る者を楽しませようという意気込みにあふれており、まさに名作と呼ぶのにふさわしい。苦難に見舞われながらも決して悲観せず、明るさを失わずに未来を目指すコナンやラナたち……貴方にも、そんな彼らの姿を見てもらいたい。
超磁力兵器を使った最終戦争により、五つの大陸のほとんどが海に没してから20年。絶海の孤島で老人と暮らすひとりの少年の姿があった。その名はコナン――自然と共に生きていた彼らだったが、ある日ラナと名乗る少女が漂着する。生き残っていたのが自分たちだけではないことを知ってコナンと老人は歓喜するが、ラナを追って小型飛行艇が飛来する。降り立った者の手に銃が握られているのを見て、戦争から何も学んでいないのかと激怒する老人。しかし彼らは力ずくでラナを連れ去り、そのときの争いが元で老人は死亡してしまう。ひとりになってしまったコナンは悲しみを振り払い、ついにはラナを救うために旅立ちを決意する! 自分が生き残った人類の未来を、大きく左右することになるなど知ることもなく……。
超磁力兵器による大変動から逃れるために宇宙に脱出しようとして失敗、のこされ島に不時着した10人の男女の忘れ形見。自然と一体になって育った少年で鋭敏な感覚に加えて、ずば抜けた体力や運動能力を持つ。特に足と足の指の力はすさまじく、超人的な域に達していると言っても過言ではない。ラナとは信頼関係に基づいた強い絆で結ばれている。
テレパシー能力を持つラオ博士の孫娘。優しさに満ちた少女だが、悪人に対して正論を正面から語る気の強さもあわせ持つ。ラオ博士への脅迫材料にしようとするレプカに追われて数々の試練を経験するが、どんな脅迫を用いても彼女の真っ直ぐな心を曲げることはできなかった。
プラスチップ島で他の住人と離れてひとりで生活していた自然児。島にたどり着いたコナンと意気投合し、以後は彼の仲間として一緒に行動するようになる。意地っ張りなところもあるが純粋な心の持ち主で、寄せられた好意に対しては全力で応える。
インダストリアの一員でバラクーダ号の船長を務める男。燃料や食料になるプラスチップ採取の任務を行いながらラオ博士の捜索もしていた。悪党なのだがどこか憎めない人物で、コナンと一緒に行動するうちにいつの間にか真っ当な人間に変わっていった。
インダストリアの行政局次長であり、レプカの右腕として手腕を発揮していた女性。小型飛行艇ファルコの機長でもある。当初は冷酷な人物であったが戦いの中で凍り付いた心が徐々にとかされていき、ついにはコナンたちの味方になる。彼女の口癖である「ばかね!」という言葉が、回を追うごとに刺々しさを失って柔和なものに変化していく様子は、ぜひ注目して欲しい。
ラナの祖父であり、超磁力兵器を生み出す元になった太陽エネルギー開発メンバーのひとり。しかしその結果、人類が絶滅の危機に瀕したことを深く悔いており、その贖罪の意味も込めて人々の再起に力を貸している。
都市機能が失われていく中でインダストリアの行政局局長にまで登り詰めた人物。いまや完全にインダストリアの実権を掌握しており、住民たちのことを顧みることもなく、地球を滅ぼした最後の“毒蛾”ギガントを復活させて世界を支配しようとしている。
この作品は35年前に製作されたTVシリーズだが、その完成度は驚くほど高い! キャラクター、メカ、そしてストーリーのいずれを見ても、現在のアニメ作品を凌ぐほどだ。その魅力の一端を紹介しよう!
「未来少年コナン」の最大ポイントが、この想像を超えたアクション! 全編で繰り広げられる自然児コナンの人間を超越したかのような動きは、ある時は大爆笑、またある時は感動を呼び覚ましてくれるぞ。特にコナンの足技はお見逃し無く!
純粋な真心でつながっているコナンとラナ。ふたりのそんな関係を端的に示した名シーンが、この第8話の一連のカット。手枷が引っかかって浮上できないコナンに対して、ラナが必死に口移して空気を運ぶ。しかしそんな無理がいつまでもできる訳もなく、力尽きる。彼女を助けるため、コナンがフルパワーを発揮する!
戦車や飛行機、自動車などのメカが大好きな宮崎駿や大塚康生がメインスタッフに名前を連ねているだけあって、登場するメカは独特のテイストを持ったデザインのものばかり。またその描き方も素晴らしく、メカファンにはたまらない作品でもある。
全26話のシリーズだが、どの話数も独立して楽しめながらも前後のエピソードと密接につながっていて、シリーズとして波瀾万丈の物語が進開する。特に第24話「ギガント」から最終話までの3話は怒濤の展開を見せ、「大団円」というサブタイトルにふさわしい結末を迎える! これは必見!!
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