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いちおし

「茄子 アンダルシアの夏」特集

アカデミー賞を受賞した「千と千尋の神隠し」を始め、数多くの宮崎駿作品で作画監督を務めた高坂希太郎。その彼が宮崎から勧められた原作に共感して、自ら監督したのがこの作品である。全編に流れるレースの緊迫感と微細な感情の抑揚を感じ取れたなら……きっと見ているあなたも幸せになるに違いない。
照りつける強烈な日差しと乾いた風。主人公のペペはスペインで開催されている世界三大自転車レースのひとつ、ブエルタ・ア・エスパーニャの選手のひとりとして、アンダルシアの地で必死にペダルを踏み続けていた。やがて近づく彼が生まれ育った町、そこではまさに今日、兄アンヘルの結婚式が行われていた。かつてのペペの恋人カルメンを兄が妻に迎えるための結婚式が……。複雑な胸中の彼に無情にも伝えられる、スポンサーからの解雇の言葉。だが故郷が生み出した偶然が、彼にチャンスを与える。
忘れたい恋、忘れたい戦い、忘れたい土地から遠くへ行きたい――。揺れ動く想いは、いまクライマックスへと駆け上がって行く……!

舞台になっているアンダルシア地方はスペインの南部を構成する自治州で、地中海及びジブラルタル海峡に接している。典型的な地中海性気候地帯のため、作中の歌でも語られているように夏場は強烈な日差しが降りそそぎ降雨は少ない。また土壌も石灰岩の風化したもののため、農業は乾燥に強いブドウやオリーブの栽培や放牧などが中心に行われている。歴史的経緯からスペインでも貧しい地方とされているが、ヨーロッパ最後のイスラム王国・ナスル朝が栄えた地でもあり、グラナダには華麗なアルハンブラ宮殿が残されている。
ツール・ド・フランス及びジロ・デ・イタリアと並ぶ世界三大自転車レース、もしくは三大ツールと呼ばれるレースのひとつ。基本的にスペイン国内を踏破するコースで行われる。これらのレースはステージレースといわれる形式のもので、いずれも概ね3週間程度の期間に3000~3500km程度を走破する。全区間でのタイムを加算して競う総合時間賞の他にステージ優勝などさまざまなタイトルがあるため、日々のゴールが大きな意味を持ち、この作品に描かれているようなレースが展開される。
自転車のロードレースでは一般的に役割が分担されており、チームの中で最初にゴールすることを目指して走る選手をエース、そんなエースを風から守ったり他チームを牽制するなどしてサポートする選手をアシストと呼ぶ。チーム内で一番速い選手がエースを務めることが多いが、選手の脚質や重要視するレースはチームによって異なるため、必ずしもいつも同じ選手がエースというわけでもない。パオパオビールチームのエースはギルモア選手で、ペペはアシスト役である。

チーム・パオパオビールのアシスト選手。故郷アンダルシアを捨て、レースに賭けてきた。さまざまな想いを胸に、ひたすら地平線を目指す。(CV:大泉洋)

ペペのかつての恋人で、レースの当日にアンヘルの花嫁となる。凛とした美しさと包み込むような優しさを持つ。(CV:小池栄子)

ペペの兄。アマチュアレースではペペよりも活躍した。ペペとカルメンの過去を知りながらも、兄として、男としてペペに温かな眼差しを贈る。(CV:筧利夫)

©2003「茄子 アンダルシアの夏」製作委員会
©「時をかける少女」製作委員会2006
©Makoto Shinkai / CoMix Wave Films
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